2010年3月15日 (月)

2010年 医療保険改訂

いよいよ今年も医療保険の改訂が出ましたね。片麻痺をお持ちの方に関係する部分を解説しておきます。

・まず、脳血管リハⅠという疾患別のリハビリ料が少し上がりました(235→245点)。対象者の方には負担が少し増えますが、リハビリを扱う施設としては「脳卒中に重点的に力を注ごう」という体制が期待できます。一方で外来の運動器リハが下がりました。

・発病180日の日数制限はそのままですが、月に13単位までは除外規定(失語や認知障害を有する)に該当する人でなくてもリハビリを受けられるという制度は、介護保険の短時間の通所リハビリの導入が今ひとつ進んでいないので、まだしばらく継続しそうです。

・回復期リハビリテーション病棟Ⅰの点数が上がりました(1690→1720点)。その代わり重傷の方を3割(今までは2割)受け入れることが義務となります。

・また、回復期リハビリテーション病棟には「休日リハビリテーション提供加算(新設60点)」という加算点数がついたので365日リハビリテーションをする施設が増えるでしょう。

・同時に「リハビリテーション充実加算(一日に平均6単位以上のリハを提供/新設40点)という加算もついたので、回復期リハビリテーション病棟を持っている施設はPT・OTを多く雇ってリハビリテーションを充実させようとするでしょう。

※量が多ければ良いとは思いませんが6単位(2時間)までは量が多いほど回復が良いというデーターもありますので少ないよりは良いと思っています。また、どれも対象者の方のご負担が増えることですので一概に良かったとは言えませんが、脳卒中リハビリの体制が充実する方向に向かうという意味では進歩であると評価もできます。

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2009年11月 6日 (金)

神経学に基づくリハビリの知識

最近Progress in Brain Reserch,Vol.143 CHAPTER 25 "Cortical and brainstem control of locomotion"Trevor Drew, Stephen Prentice and Benedicte Schepens から講義を持たせてもらいました。 Clinical Neuroscience Vol.27 特集Motor system-What's classic and what's new? の高草木先生の網様体脊髄路に関する最新知見も交えてCPGやリーチのニューロンネットワークに皮質がどう関わっているかという話をさせてもらいましたが、まとめていて自分自身にも勉強になる部分がたくさんありました。

 その一つが脳幹網様体は姿勢コントロールの筋緊張に関わる役割を果たしていることは周知の事実ですが、(主にPPN/脚橋被蓋核からの下行路)脳幹網様体は霊長類では6野(前運動野・補足運動野)からの入力を非常に多く受けます。すなわち随意運動との関係で言えば、例えば「あのコップを取ろう」と企図することが6野から運動野(4野)と脳幹網様体に信号を送り、運動野から皮質脊髄路を通じて手先を動かす命令が脊髄に行くのと同時進行的に、あるいは先行して脳幹網様体によって姿勢コントロールが準備されると言うことになるのです。

 このエビデンスからすると療法士が他動的に手をコップに誘導するだけでは姿勢コントロールに必要な情報にはならず、対象者がコップをよく見て「取ろう」と思うことが重要になるわけです。

 ちなみにこの脳幹網様体は青班核ニューロンからの伝達物質に影響を受けますが、青班核ニューロンは報酬に関わる事によく反応すると言われています。すなわち「うまくいった」とか、快適であるという結果につながることがまた姿勢コントロールに影響を与えるのです。

<解説>

 と難しいことを書きましたが、要するにどんな達人がリハビリしても脳卒中をもたれた方自身が「あれを取ろう!」と思って手を伸ばすリハビリをしないと脳は準備されないと言うことですね。そして「よしできた!」と思えるような場面でリハビリをする環境を作れることが重要です。隣の人と無駄話をしながらリハビリをする療法士さんは神経科学を無視していることになります。

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2009年2月27日 (金)

筋肉「透視」ソフト

ピーナッツMLからの引用
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筋肉「透視」ソフトを開発 東大
http://mainichi.jp/life/health/news/20090228k0000m040072000c.html
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片麻痺患者さんの運動分析に応用できると良いですね。

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2009年2月 4日 (水)

NHKスペシャル「闘うリハビリⅡ」

PT・OTネットより引用 http://www.pt-ot.net/

NHKスペシャル『闘うリハビリⅡ』 が放送されます。
昨年の第一弾は超急性期からのリハビリテーション、脳の可塑性など最先端のリハビリに焦点が当てられ話題になりましたが、リハビリ医療現場や患者(視聴者)からは「回復の可能性を否定され絶望した」「いったんリハビリを中断したら状態が極端に悪くなった。」「退院したらリハビリする場がない」など放送後に沢山の悲痛の叫びが多く寄せられた。
今回の第二弾の「闘うリハビリ」では回復の途上に立ちふさがる「壁」とは何か? リハビリ制度の問題、在院日数短縮を進める国の方針に回復の可能性があっても退院となり回復の機会を奪われてしまう患者、実際に患者の置かれている立場など当事者の目線で伝えていくとNHKは総力をあげて放送を決断。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/090208.html

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2009年1月10日 (土)

固くしめられたペットボトルの蓋が麻痺手で開けられない

<課題をクリアする為に必要な運動学的・知覚的コンポーネント>(療法士の方へ)
 ペットボトルの蓋やビンの蓋を開けるときに必要な要素は、まず第一に蓋の中心に向かう力のモーメントではなく、回転力を生み出す方向へのモーメントとなります。その為、橈側優位に力ずくで蓋をつかむと指にアクセサリームーブメントが起きなくなります。アクセサリームーブメントというのは環境との接点で初めて起こる副運動のことで、例えば足の指を内回し、外回し(わかりやすいようにちょっと運動学的表現を無視します)って随意運動としてはできませんよね。
 でも足底が地面についていて重心を移動したり足部が動くとそういう運動が起こります。
 同様にペットボトルやビンの蓋に指をフィットさせ力を加えていくと指の皮膚や骨に結果的に回旋が起きますよね。徐々に接触面積を増やしていきながら回転方向への力のモーメントを増やしていくような知覚的操作を我々は自然に行っています。
 この動きを蓋の中心に向かう力のモーメントを力ずくで行うと麻痺側手指か非麻痺側手指かに関わらず「失敗」を生み出す要素になります。分析と練習のポイントはボトルの方を押さえている非麻痺側の手が麻痺手の加えた力に対応した反応になっているか?麻痺手が上記の知覚情報に対応した反応になっているかが重要です。介入の準備としては中手骨間の可動性と俗に言う「水かき」部分(指間)の皮膚の粘弾性、指の回旋の可動性を確保することになります。もちろんそれより中枢側の分析・準備も重要です。

<関連お役立ちグッズ>

ペットボトルの蓋を楽に開けることができますペットボトルオープナー
400 円 ワインショップアミ
ペットボトルの蓋を楽に開けることができます。手に柔らかい感触の軟質樹脂を使用。手がいたくなりません。 材質表示  本体/エラストマー樹脂(耐熱温度120℃) サイズ/約56×40(mm) 重 量/約34g□日本製□製... ...
http://sr10.choitoippuku.com/index30.htm
キッチン工房
http://www.kitchen-koubou.com/index.htm
最安値「楽天ショップ」
http://item.rakuten.co.jp/keirakuen/10001670/

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2008年12月30日 (火)

手のリハビリ用に役立つサイト

手のリハビリテーションに役立つと思われるサイトを紹介しておきます。OTさんどうぞ。

※ペーパークラフトはちょっとハードル高いかも知れません。

日本画家 佐藤和喜さんの大人の塗り絵http://homepage2.nifty.com/therapy/otstop.htm

※著作権の関係で「pleasant life」作業療法学生の部屋からお入り下さい。

YAMAHAのペーパークラフト
http://www.yamaha-motor.co.jp/entertainment/papercraft/

サンワサプライのペーパークラフト

http://paperm.jp/craft/index.html

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介護保険改訂2009!

具体的な単位が見えてきましたね。訪問リハビリテーションが充実してくれると良いですね。採算が取れればサービス提供者が増えるかな。通所リハは普通のリハ病院でもできるようになりそうで、180日超えリハビリテーションの受け皿になる可能性がありますね。

これに伴い2010年の医療保険改訂では移行措置の月13単位制が無くなるかもしれません。通所リハも単位がつかなければPT・OTが雇えませんのでマンツーマンのリハを提供できる体制がそれまでに整うかどうか・・

※PT・OTnet(http://www.pt-ot.net/)より一部抜粋

■短時間通所リハビリ新設(1時間以上2時間未満)
 理学療法士等の人員専従2名以上、送迎や定員枠については不明。
■訪問リハビリ
 1日単位から20分単位へ(20分305単位
■通所リハビリ人員配置見直し
 理学療法士等は利用者10名に対して1名以上を配置
■通所リハビリ短集中リハビリ実施加算の見直し
 3ヶ月以内は評価引き上げ、 3ヶ月以上は13単位制限と実質的には評価引き下げ
 リハマネ加算は月8回以上利用が対象へ月230点
■認知症短期集中リハビリが新設
 介護老人保健施設、介護療養型医療施設、通所リハで240単位/日
■短期入所療養介護
 ショートステイでも個別リハ実施が可能

詳細は社会保障審議会資料参照
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/s1226-5.html

※「リハビリテーションゲート」リニューアルしました。

http://homepage3.nifty.com/rehagate/

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2008年12月 3日 (水)

来年三月の介護保険改訂

 来年三月の介護保険改訂の中身がちらほら見えてきましたのでお知らせしておきます。
 
 脳卒中リハビリに関係あるところでは短時間の通所リハが病院のPT室で受けられるようになりそうです。 180日過ぎても一定期間介護保険を使って病院の外来リハビリを受けられる仕組みが検討されています。

 あと、訪問リハビリステーションという制度を理学療法士・作業量療法士・言語聴覚士協会で厚労省に熱望していたのですが先送りとなりそうです。その代わり訪問看護7の縛り(訪問看護以上にリハ禁止)が無くなりそうですね。

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2008年7月17日 (木)

リハビリ難民のその後

私の師匠でもある柏木正好先生がテレビの報道番組に出演していました。リハビリ難民のことを取り上げたニュースです。
その中で柏木先生が治療を行っている小児脳梗塞の子のお父さんが今の医療体制に異論を訴えていて日本テレビに持ち込んだ話です。
http://www.dai2ntv.jp/common/misc/kochi2/mesen/index.html
の中での、「what's new リハビリ難民のその後」という項目です。

 直りたいのに治療が受けられない・・と泣く少女をみて思わず目頭が熱くなりました。

ただ、今年の改訂で180日過ぎても月13回までは外来で医療保険を使ったリハビリが可能になったので受け入れさえあれば月二回しか受けられないという事は・・と思うのですが・・

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2007年12月13日 (木)

2008年診療報酬の改定

審議会などの情報がまとまってきましたね。中医協の情報などをもとにすると・・

 回復期リハビリ病棟が2段階になり、上の基準は成果主義、すなわち重度の患者さんをできるだけ良くして自宅に帰すなどの成果を上げると、それに見合った診療報酬が支払われる。今までの回復期リハビリ病棟は専従のお医者さんがいらない・・等簡単に取りやすくなる代わりに点数はダウン・・といった方向でしょうか?

 逓減制がなくなるという話も出ているようですね。発病から時間が経たれた脳卒中の方のリハビリを介護保険の短時間の通所リハビリで・・という話は先に持ち越されるかもしれません。

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