◆CI療法
今回はちまたで噂の(笑)CI療法について書きますね。CI療法(Constraint induced movement therapy)というのは麻痺した手を強制的に使うことで回復するという考え方で、麻痺していない方の手を拘束(こうそく)して使えなくしてしまうといったリハビリの方法です。日本では兵庫医科大学等で取り組まれているようです。
私は普段、直接CI療法を治療にもちいませんが、講習会などで「脳の可塑性(かそせい/もとにもどるとか、よくなること)」について話をするときに、このCI療法について紹介します。
詳しくお話しすると、アメリカのNudo博士という人がCI療法の実験をリスザルをモデルにして行っていて、1996年に発表しています。脳梗塞を人工的に作ったリスザルは麻痺した手を使わなくなるので3ヶ月後にはその麻痺した手に関わる脳の運動領野(うんどうりょうや)が狭くなってきます。そこでCI療法を行うことで麻痺手でしか餌を穴から取り出せないようにして麻痺手を使う練習をさせるんです。そうするとそのCI療法を行った群のリスザルの脳の運動領野は狭くならないというデーターが得られたわけです。
この実験から得られた結果の要点は、
1.麻痺した手を使うことで脳が変化する(悪化する事が防げる)
2.末梢(例えば手)を使わないと脳は同じ場所の機能を置き換える(他の事に使われるようになる)
3.脳が変化するには相当な時間や量、末梢(例えば手)を使う必要がある
という事です。ですから麻痺した手にアプローチすることには意味があるという事が科学的に証明されたわけで、久保田競教授(元霊長類研究所所長)はこの実験を指して「神経リハビリテーションの元年」とおっしゃられています。
一方で、3.について考えると、麻痺した側の手にアプローチする療法士(PT・OT)は、ただリハビリの時間だけ麻痺した手を動かしているだけでは意味が無くて、実用的な機能に結びつける取り組みを行わなければなりません。麻痺した手の指がつまめるようになったら、それで薬袋を押さえて飲み口をやぶるときに使えるように・・というように実際の生活場面で使える、そして何度も使える機能に結びつけることが重要なのです。
そして、麻痺を持たれた方はリハビリ以外の時間にどうやって麻痺した手を使えるかを考えなくてはならないわけです。しかも高頻度に使う必要があります。麻痺していなければ身振り手振りも含めて2000回ぐらい手を動かしているといわれていますから・・。麻痺した方の足は歩ける人なら2歩に1回は使っているわけですから使用頻度という点では、比べものになりませんよね。片手でできる事も多いし、つい使いやすい麻痺していない方の手を使ってしまうのでCI療法が生まれたのでしょうね。
※このCI療法はある程度麻痺した手が使える人にしか使われません。また、使われるにしても一日に6時間限定といった制限をもうけるのが一般的です。(それ以上拘束するとストレスでどうにかなるようです。)
適応等は下記のページを参照して下さい。
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コメント
これまた、ボバース法と相反するようなパワーリハとCI療法ですが・・・・・。どの様に整合性があるのか教えてもらえるとありがたいのですが。
投稿: ぷろPT | 2005年12月17日 (土) 15時48分
少なくとも私の持っている文献では、1993年にCI療法の報告がありますが、伊藤さんのおっしゃられているDr.Nudoの文献は新しすぎませんか?
もしお間違えであればと思い…。
余計なおせっかいですが…。
投稿: CI実践者 | 2008年5月 7日 (水) 20時31分
ぷろPTさんこんばんわ。脳卒中でもパワーリハ用いる人はいますよ。ストレッチも必要があればします。ボバース概念は神経学に基づいてその方にとってもっとも必要なことを考えるための概念です。手段として必要があればAKAもしますし筋トレもします。ただし回復や機能維持に妨げとなる要素をよく吟味し手段を選ばなければならないと思っています。テクニックは道具の一つですよね。それをうまく使いこなさせる評価・解釈・判断力が必要です。どんなに高価なノミをもっていてもそれだけで家は建ちません。(^◇^)ノ
投稿: 伊藤克浩 | 2008年7月17日 (木) 17時00分
CI実践者さんこんばんわ。1996年以前にもCI療法に関する報告はあると思います。このNudo博士の論文はサイエンスに初めてリハビリテーションという言葉が載った・・という意味で非常に価値があると久保田競先生はおっしゃられていました。ちなみにボバース概念では姿勢身体図式の観点から、麻痺側上肢を用いるだけではなく、「正しく用いる」事でchankingが起こると考えており、麻痺側上肢の分離運動の促通や誘導による道具操作等を行う事が多いです。もちろん口答指示のみでコントロールできる方には触らないこともありますが・・
投稿: 伊藤克浩 | 2008年7月17日 (木) 17時06分
初めまして。夜分遅く失礼します。自己紹介からさせて頂きます。大阪の学校へ通うPTの専門学生です。学校の脳血管障害の授業で、CI療法の授業を受け、興味をもち、色々なサイトをたどるうちに先生のHPを拝見し、先生から、よりCI療法について教えて頂きたいと思い、長々と失礼します。
私には、実家の長崎の方に脳梗塞で倒れ、右片麻痺の祖母がいます。授業や、CI療法のことを知るうちに祖母へCI療法を受けてもらいたいと思うようになりました。
しかし、自分の知識からは、親や祖母、祖父に対してすぐにCI療法を受けてほしいと言えないため、まずはより自分が詳しくなり、自分の言葉でCI療法について説明したいと思っています。
現在、私は3年生です。
評価学は学びましたが、治療学についてはこれから講義があります。学校の授業ではCI療法について学ばないので、自分で情報を手に入れるには、本やインターネットで、最新の情報をすることで十分なのでしょうか。
投稿: PT学生 | 2011年4月17日 (日) 01時43分
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