« イギリスでテロ? | トップページ | ●コラム「できる日常生活としている日常生活」 »

2005年7月 8日 (金)

●コラム「日本の片麻痺リハビリが向かう方向」

アメリカとヨーロッパでは根本的な部分が違います。アメリカや日本ではお金を使わないために脳卒中後に麻痺の残った人は一定の期間が過ぎるともう良くならないことにされてしまいます。アメリカの場合はもともと国民皆保険がなく、日本では財源が無くなってそれが崩壊しつつあるからです。
「病気になってから今までどういった人にどういった治療を受けたか?」とか「発病後どのくらい経ってリハビリが開始されたか?」は関係なく一定の期間が過ぎたらもう良くならないから障害を受け入れて自分達でなんとかしろと言うんです。
いかに「国のお金を使わないか」ということと「患者さんが良くなるかならないか」といったことが混同されて議論されているんです。
そんな事もあって脳卒中を発病して何ヶ月か経つと外来も含めてリハビリを受け続けることが困難な時代になってきました。病院にとっても採算が取れないような保険点数の設定にされてしまっているのです。後は自分達で出し合って助け合いなさいというのが介護保険になるわけですが、介護度で出るお金が決まるのである程度自分で身の回りのことができると「麻痺した手の治療を継続して受けたい」という希望に答えられるケアプランが組まれる事はほとんどないでしょう。
一方、ヨーロッパの多くの国では「間接税」「福祉目的税」といったものが徹底していて、例えば100円のジュースを買うと15円は自分の老後とか病気になったときに使われることが決められています。医療側もお金がある程度あって患者さんの要求にこたえるために医療従事者もしっかりと勉強しますし、技術を持った人や治療技術が認められる傾向があるわけです。事実、ドイツ等の国々ではボバース(注)等の講習会を修了したリハスタッフが診療を行うと診療保険点数も普通のリハビリ診療に対して高く設定されています。
ところが日本ではリハビリスタッフ養成校を卒業したばかりの新人が治療しても経験者が治療しても料金は一定ですし、患者さんもそれを選べない。
今までは1、2割の負担で治療を受けていたこともあって医療従事者も甘えていた部分もあるでしょう。
国民皆保険が崩壊して自己負担や生命保険、傷害保険で結果が求められるようになってきて、例えば1万円を自己負担で払うなら「あなたじゃなくて・・」という時代はすぐそこです。
そうなったときそれに答えられるセラピストがどれくらいいるのでしょうか・・

(注:ボバースコンセプトとは世界で最も価値が高いと世界理学療法士協会で認定されている脳卒中に対するリハビリ技術)

日本ボバース研究会ホームページ http://homepage2.nifty.com/bobath/

|

« イギリスでテロ? | トップページ | ●コラム「できる日常生活としている日常生活」 »

コメント

はじめまして!
片麻痺患者です!いろいろとさんこうにさせていただきたいと思います!

投稿: 麦子 | 2013年7月13日 (土) 21時10分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ●コラム「日本の片麻痺リハビリが向かう方向」:

« イギリスでテロ? | トップページ | ●コラム「できる日常生活としている日常生活」 »